「優美……? もう寝たの?」



「……」



 僕より先にベッドに入った優美の寝顔にそっと声をかける。



「まだ、寝ていて」



 静かな部屋に、小さなリップ音がひびいた。



「ん……? さ、と……し……?」



「おやすみ、優美」



 自分でも、たった今、自分がしたことに驚きを隠せずに、声が震えた。



「……」



 そんなことも気にせず、彼女はまた規則正しい寝息をたて始めた……。