「そんな! 悪いです!」



「では、僕は実験途中なのでお先に失礼しますね。安物ですよ。返さないで下さいね」



 僕が歩き出すと、後ろで「ありがとうございます、宮本さん!」という声が聞こえた。



 少し強引だったが、まあ、泣き止んでくれて良かった。



 ガラスをちらっと見れば、涙を拭きながらお辞儀をする姿が見えた。