恋の始まり方はそれぞれです

「あ、すみません」



 赤くなった目元を隠すようにしてうつむく彼女。



 彼女は僕を知っているようだが、残念ながら僕は彼女を知らない。



 知らないのに僕はどうして世話を焼いてしまうのか……。全く分からない。



 水島さんにもこの人にも……僕は世話焼きなのか……?



「これ、使って下さい。タオル生地のハンカチなんで、温めて目に当てると、泣いたあとが分かりにくくなるはずですから」