恋の始まり方はそれぞれです

「じゃあ僕、まだ実験途中なんで、先にもどります」



「お、おう。急だな。じゃあな」



 先輩を残し、一人廊下を歩く僕。静かな廊下に、いつもと違う、すすり泣きが聞こえた。



 声のする方を見れば、どうやら誰かが女子トイレで泣いているようだ。



「そこの泣いているあなた、大丈夫ですか?」



「ひっ……あ、だ、大丈夫です……あ、宮本さん……」



「僕を知っているのですね。ところで僕、このままだと覗き見になるので、廊下に出てきてくれると嬉しいです」