「送ってくれるの……?」 「うん、嫌だった?」 首を傾げて問う彼に、慌てて首を振る。 「嫌じゃない。 …うれしい……」 「今日は素直だね」 何気にちょっと酷いけど。 けれど、額に唇の感触が落ちてきたので私は何も言えなかった。 2人で家を出て、マンションのエレベーターに乗る。 車なら、きっと遅刻は免れるだろう。 「……」 チラリと隣に立つ彼の顔を見る。 相変わらず、端正な顔立ち。 少しだけ、垂れ目っぽくて、色白。 綺麗な鼻筋、薄めの唇。