「琴子、なんでそんな可愛い顔するの…」 怒りを表現したはずの私の表情は、 彼には通用しないらしい。 ぎゅーっと強く、けれど優しく抱きしめられる。 あ、あったかい……。 彼の腕の中は安心する。 なんでかな? 「琴子」 「……ん?」 怒っていたはずなんだけど、 ついつい優しい口調になってしまう。 「愛してる」 「っは?! 」 「好きだよ」 「わ、私も、だいすき……」 彼の『愛してる』がじわりと心の奥を満たす。