空が薄らと明るくなる頃、ウトウトとした私は・・・
『リコ・・・』
私をその腕に包んで眠る、浅緋の温もりを思い出しながら眠る、眠る・・・
一緒に眠っているのは、いずるさんなのに貴方の体温は感じない。
ここへ来てから、私はずっといずるさんに甘えて日々を暮らしていた。
いずるさんは、生活に必要なものを何でも私に買え与え、ギブスをはめた足が不自由な私を優しくいたわり、世話をしてくれる。
私はお人形のように何もせずここに居て、こんなにも甘やかされていいのかなって思いながら日々を過ごしていた。
濡れた私の髪を、タオルで優しく拭いてくれる、いずるさん。
「いずる、ごめんね
お仕事で疲れているのに
私の世話までありがとう」
「リコは気にすることないよ」
「いずるは私のこと、愛してる?」
浅緋に聞けなかった言葉を、私はいずるに何度も問いかける。
「ああ、もちろん
リコ、愛してるよ」
その言葉は、私にとっては媚薬のはずだった・・・


