アカイ花†Vermilion Flower


そう言うと貴方は、私の黒髪に触れる。

その指先

その瞳

薄らと微笑む、その唇・・・


「リコ、君の髪も綺麗だよ
 
 すごく、きれいだ」


貴方が、黒髪に異様に執着しているように思えた私は、初めて貴方を怖いと思った。


「さあ、もう遅い、眠ろう」

「いずる、やっぱり
 貴方の隣で眠ってもいい?」

「ああ、いいよ」


ベッドに向き合って横たわる、私達。

貴方が見つめて微笑んでくれるのは、私であって私じゃないことを、私は今夜知った。

黒髪・・・それは私に見る、お姉さんの面影。

貴方の子供のように無邪気な寝顔を見つめながら、私は一人眠ることができない。