アカイ花†Vermilion Flower


その時、私は背中に人の気配を感じ、急いで写真を元あった場所に置いた。

カタン・・・


「起きてたのか?」

「うん
 ごめんなさい、勝手に・・・」

「いやっ、構わないさ」


写真立てを手に取った貴方に、私は言う。


「その写真の人、きれいな人ね」


貴方は愛しそうに、その写真の女性を見つめている。


「ああ、彼女は死んだ
 俺の姉なんだ」

「死んだ、死んだって・・・
 
 あっ、そう言えば
 お姉さんと目元が似てる」


私は、いずるのお姉さんの死の原因を知る事は避けた。

似てる、その言葉に、貴方はニッコリ微笑んでみせた。


「きれいな黒髪だったのね」

「ああ、それが姉の自慢だった」