良家の娘として育てられた母は父無しでは何もできなくて、父を病気で亡くした後は、私達、娘に依存して生きている。
自分では何も決められない子供以上に子供のままで、思ったこと・感情をすぐ表に出してイライラしているかと思えば今度はニコニコ笑って、接し方を誤ればその後が大事で機嫌が治るまでは本当に大変。
そして、子供に気を使わせている事にも気づかない・・・疲れる人。
そんな風に私が母を想ってしまうのは、幼い妹よりも母は私に強く依存したからだろう。
この家を出て行きたいという気持ちを、私はずっと持ってた。
「ここに居たいと言ったかと思えば
今度は居たくないと言う
そんな、お前
俺にはどうしようもできない」
「そうだよね・・・結婚はなし」
「それでいいんだな?」
私は涙を流しながら、コクンと頷いた。
そんな私に背を向けてドアに触れる手、帰り際、貴方は私に言葉をかけた。
「リコ、お前は俺に
『貴方の意志はどこにあるの?』
かと、聞いたな
俺は、もう言ってる
それが、俺の気持ちだ」
『お前と二人だけで新しい
暮らしをスタートしたい』
バタン・・・閉まるドアの音が、私のこの胸をかき立てる。


