この頃になると浅緋はさすがに仕事柄、女性関係を断っていて、昔みたいに派手に遊ばなくなり少しはホッとしていたものの、次はこの学校に通う女生徒の熱い眼差しを一身に受けてライバルは減る所か増える一方、私は毎日ジェラシーを感じずにはいられなかった。
生徒の肩に手なんか置いて、もう!・・・こうしてイライラは募るばかり。
貴方の事が気になって、絵なんて描けるわけない。
「ミウラ
いつまで、残るつもりだ」
ほんの少しだけ黒い線が増えた私のキャンバスを、貴方は見つめてそう言った。
いつの間にか辺りには誰もいない。
「さあ、わかんない・・・」
「何が分からない
これ、描き終えなければ
おまえだけ、次へは進めないぞ」
「あ~あ~、初めから
美術なんか専攻しなきゃ
よかったよ
私、苦手なんだもん
絵描くの
想像力なんてゼロだし・・・」
「ふうん
お歌の方が上手にできるってわけ?」


