「もう、やっぱり
 約束したこと忘れてる」

「約束?
 
 ああっ、今日だったっけ」

「そうだよ、行こうよ
 みんな、待ってるよ」


貴方のあいている方の腕を取った今の彼女らしい女性は、元彼女と視線をぶつけ合いバチバチと火花を散らす。

両手に綺麗な女性を従えて、貴方はふーっと息を吐いて私に面倒だって顔をしてみせた。

浅緋の視線の先の私の存在に気づいた彼女。


「アサヒ、この子、誰?

 妹さん?」

「アサヒ、貴方に妹なんていたぁ?」

「ああ、かわいいだろう
 
 まあ、そういうわけだから
 お前等、またな

 リコ、帰ろう」


二人の手から逃れた貴方は、私の手をさっと掴む。


「そういうわけって何よ
 
 ちょっと待ってよ、アサヒ~」