そんな私の手に触れる、いずるさんの大きな手。
その手を放そうとした私の手を、ぎゅっと強く掴むいずるさんの手、手首、その腕はもう昔のように頼りなくなどなかった。
いずるさんは、私の手を自分の方へ引きながら言う。
「リコ、行こう!」
私はその手を強く握り返した。
「ハマノさん、ごめんなさい」
「いいえ
いってらっしゃいませ」
彼は、ピシッと背を正しホテルマンらしく、この私を送り出してくれた。
私達は、何に追われるでも無いのにホテル内を駆ける。
ホテルから早く脱出しなくては!
焦る思いとは裏腹に、草履で上手に走れない私。
閉まりかけたエレベーターに間一髪で間に合った私達。
誰もいないその密室で、貴方の腕の中に私は抱かれた。


