社長の孫に手を出した事実に、彼は血相を変えて私から離れて行き、その後はそのまま彼にしつこく付きまとわれる事もなく、平穏な日常を暮らしている。
ただひとつ、食事の席で祖父が思わぬ事を言い出した。
「リコ、お前には来週、お見合いをしてもらう
そのつもりでいなさい」
「えっ、お見合い?
えーーー?」
母も、遅れて食事会に合流したレイと浅緋も、祖父の言葉に口をアングリ開けている。
そこへ、彼が作っただろう料理が運ばれてきた。
とっても見栄えが良く、凝ったお料理で美味しそう。
「腕はいいようだな・・・
だが、要らぬ男に、可愛い孫はやれん!」
祖父いわく、自分の孫には幸せな結婚をしてほしいと願っての事だった。
祖母を早くに亡くした祖父、父を亡くした母、好きな人とずっと長く添い遂げたいと思っても長い人生には何があるか分からない。


