アカイ花†Vermilion Flower


「レイが好きだ

 レイを愛してる」


貴方は、やっと口に出して言えたと、私に安堵して見せた。

浅緋、アンタは本当に最後の最後まで酷い男だったわ。


ビッシャッ・・・


だから最後に、私は、貴方のその端整に整ったきれいな顔に、グラスの水をぶちまけて言ってあげた。


「バイバイ、アサヒ」


私の頬を流れた一粒の涙は、貴方に見せる最後の涙。


「・・・つめてぇ

 やるか普通?」

「いいじゃん、いいじゃん

 スッキリしたー

 ほらっ、顔拭いてきなよ」


席を立った、貴方の携帯が鳴る・・・・


私と浅緋、二人の間に起きたいろんな出来事の一つ一つは、決して大層な事ではなく微々たる物で、この愛を守る事ができなかった決定打は、私が本当の意味での愛を大切にしなかったから。