アカイ花†Vermilion Flower


『カノジョっていうのは
 こいびとだよ』

『こいびと?

 ・・・ふうん

 そうだ、レイはね
 アッちゃんがおにいちゃんに
 なったら、うれしいよ』

『リコはね、アッちゃんのおよめさん
 になりたいよ』

『レイもなりたい』


お隣の小さな女の子達の、小鳥のように可愛いらしい声で愛を囁かれ続けた貴方は、何かに中てられたようにどっちか選ばなきゃいけなくなった・・・?


どうして、最初に私を選んでくれたんだろう・・・


それはもう、今は聞けない。

浅緋と私の結婚は、たった二年数ヶ月で幕を下ろした。


「リコ?

 リコ、聞いてる?」

「えっ、あっ、ごめんなさい
 今、ちょっと考え事してた

 何?」

「いやっ、何でもない」

「なあ、リコ・・・」

「・・・・・・」


貴方が私を呼ぶ声が、今の私には聞こえない。