クールな王子は蜜の味

…彼氏。

そう呼んでいいものか?

だって、あんなこと言われたら、

私はもう彼女なんかじゃないよ・・ね?

・・・

智也は足早に、

私たちの元に近づいてきた。

「寧々に話があるんだ」

そう言った智也の声は、

全然元気がなくて、

こっちまで戸惑ってしまう。

・・・

私は智也と目を合わせず、

小さな声で呟いた。

「私には、話しなんてありません」

・・・

相変わらず学君の後ろにいる私は、

卑怯なんだろうか?

でも今は、

智也から、少しでも離れていたい。

だって傷つくのが怖い。

一歩近づけば、また・・

大きな傷を負うんじゃないかと・・・



「…寧々」

智也が私の名を呼ぶ。


「いい加減にしてください」