「チワワを離せ」

・・・

木山先輩の方に、

手を置いた智也。

・・・

でも、

木山先輩はその手を

払いのける。

・・・

「寧々が泣いてる原因は、お前か?」


「・・・」

木山先輩の質問に、

無言のまま、

でも一瞬だけ、顔を歪ませた智也。

・・・

「いつもニコニコ笑ってる寧々が、

ここまで泣いてるんだ。

お前になんか渡すつもりはねえ」

・・・

「木山に話はない。

これはオレとチワワの問題だ」

・・・

智也も負けずに、

反論する。

・・・

「さっきから、

チワワ、チワワって、

寧々は犬じゃねえぞ?!

ちゃんとした名前があるんだから、

ちゃんと呼んでやれ!」