「あれね、君も内容知ってると思うけど、何のデータだったか思い出せる?」

「え、内容ですか……?」


 私は唖然とした。
 確かに私がついさっきまで見ていたデータだったのに、眉間に皺を寄せて思い出そうとしても、内容が思い出せない。
よほど疲れているのだろう。

「すいません、最近、ちょっと疲れてて、頭が働かないんです。」

 係長は少し困った顔をして、納得したように頷いた。


「いや、そうじゃないんだ。君、会社の名前は憶えてる?」