「ごめんなさい……」
自分の無用心さに呆れながら、私は頭を下げて謝った。
母はフンとわざとらしい溜め息をつき、静かなトーンで続けた。
「別に男性とお付き合いするなとは言わないわ。けど女の子をこんな時間まで連れ回すなんて……」
母は少し考え方が古く、イマドキ流行らない清き男女交際を推奨している人間だ。男女が夜遊びなんて以っての外だろう。
私が悪いのは分かっている。だけど、さっきまでの温かい時間を否定されたような気がして悲しかった。
黙ったままの私に、母は吐き捨てるように追い打ちをかけた。
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