心から誰かを想うことが、こんなにも温かいって知らなかった。

本当の自分を受け入れられることが、こんなにも幸せだって忘れていた。


私は津村の胸に顔を埋めたまま小さく問う。


「私、『千晶』になってもいい?」


こんな馬鹿みたいな質問、知らない人が聞いたらきっと笑ってしまう。

だけど私にとっては、まるで新しい自分になるということ。


津村は私の長い黒髪を優しく撫でながら、コクリと頷いた。


「いいよ。俺は『千晶』が好きなんだ。」


私は私で居ることに決めた。お姉ちゃん、ごめんなさい。