それ以来、ちゃんと中庭に来るようになった。
他愛もない会話をするだけ。
それだけで満たされた。
ある時誰かが、名前がないと困るからって言って名前も決めることになった。
"愛依"
それがあいつの名前だ。
だけど………本当の名前はわからないままだ。
身元がわからないまま、どんどん日にちが経っていった。
それでも、愛依は変わらず明るかった。
常に笑っていて、病院内での人気は高かった。
だけど………
珍しく雨が降った日。
愛依が病院からいなくなった。
健一から連絡をもらった俺は、倉庫から急いで病院へと向かった。
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