恋物語


コンコン…



「咲奈?ご飯出来たってよ」


今、一番聞きたくない声があたしを呼びにきた


今日も遊びに来てたんだ



でも、今日は会いたくないよ



「ごめん…食欲ない」



嘘じゃない


今は何か食べる気がしない


「…なんかあったのか?」



心配してるって声でわかる


けど、



「何もないよ。ただ疲れただけ」



こんなこと梶くんには言えない


…本当のことなんて聞く勇気さえない


ただの臆病者



「そっか…みんなに伝えておくよ」



そう言って去っていく足音が聞こえる



その瞬間、涙が溢れだした


こんなに好きなのに、どうすることも出来ない



一昨日までのあたしが羨ましい



「…咲奈?」



ドアの向こう側から、去っていったはずの梶くんの声が聞こえた



…なんでよ


こんなときに限って、梶くんは優しい


…それが更にあたしを追い詰める