恋物語


「咲奈…今日は言ってくれないの?」


「…え?」



部屋の入口で振り返り、あたしを見て言った言葉


梶くんは、今まで見たことない顔をしていた



「…なんでもない。ゆっくり休んで、元気になって」


「う、うん…」



梶くんは、少し微笑むと部屋から出ていった



今まで見たことない顔…



眉間にしわを寄せて、凄く切ないような…悲しいような…そんな顔


あたしは、胸が締め付けられた



なんでそんな顔したの?


何を考えていたの?


言ってくれないの?って何?


あたし、いつも何を言ってたの?


分からない…分からないよ…



「もう!梶くん!」



あたしは、熱があるからなのか、混乱しすぎてたのか、分からない


けど、気付いたら梶くんを呼んでいた



「どうしたの!?」



バタバタと階段を上ってくる音がして、慌てて部屋に入ってきた梶くん



「好き…大好き!」



そんな梶くんに向かって叫んでいた


当然、呆然と立っている梶くん



あたし、何言ってんだろう…



「ご、ごめん!忘れて」


我にかえったあたしに残るのは、とてつもない恥ずかしさ