そんな沈黙を破ったのは幸斗だった。
「なんで…。」
その一言だけ言って幸斗はうつむいた。
私にはその言葉の意味が分からなかった。
「ごめんな…。」
えっ…?
なんで謝るの…?
認めたの…?
高橋先生のこと…認めてるんだ…?
「葵ちゃんがそんなに思いつめてたんなら…気付かなくてごめんな…辛かったよな…?」
今の幸斗からそんな言葉はいらない。
その言葉はただ幸斗が私の担当医だからでしょ?
少し責任を取った風に言いたいんでしょ?
「私の気持ちなんて…あんたにはわかんないでしょ?私なんて…生きてる意味ないんだよ。」
「死にたかった。」
ほんと…なんでよ。
私がそう言うと幸斗の顔色が変わった。そして今まで見たことのないような表情で言った。
「そんなこと言うなよ!!俺がどんだけ心配したと思ってんの!?お前が死ねば悲しむやつがどんだけいると思ってんの!?人の命なんだと思ってんだよ!!」
今まで幸斗がこんなに怒ったことはなかった。私はその迫力で何も言えなかった。
「お願いだから…死にたいなんて言うなよ。」
そんな言葉にも…私は何も言えない。分からない…幸斗は何を言いたいの?
「前にも言ったよな?俺にはお前が必要なんだよ…。俺を救ってよ。」
幸斗には私が必要…?
幸斗を救う…?
それは全部高橋先生の役目でしょ?
なんでまだ私をからかうのよ…?
それが辛いんだよ…?
幸斗のことが好きだから…だから辛いんだよ。
「嘘…私のことなんてなんとも思ってないくせに。」
「えっ?」
「いいから出てってよ!!出てって!!あんたの顔は二度と見たくない!!」
今度は私が怒鳴った。今ある声の限り。
もう嫌だった。

