そんな緊張の中、あまり不思議がられないように亜美が切り出した。
「そう言えば~高橋先生って彼氏いますか?」
亜美がそう言った途端、高橋先生の表情が少し変わった。
でもすぐにいつもの笑顔に戻った。
「そういうのはプライベートよ。」
この答えは想定内だったから亜美も私もあまり驚くことはなかった。
逆に、そう答えるだろうと思っていた。
でも今日は諦めないんだ。ちゃんと聞かなきゃ。
今日聞かなきゃ気持ちも落ち着きかないし、幸斗と気まずくなるだけ。
だから聞きたいんだ。
「そう言わないで下さいよ~ちょっと恋バナしたい気分なんですぅ!」
「高橋先生なら恋のベテランそうだし!」
亜美の言葉に私は少し付け足してみた。
高橋先生は少し考えているみたいだった。
少しの沈黙の後、高橋先生が言った。
「じゃあ、少しだけだからね?」
やったぁ。
亜美も嬉しそうに私の顔を見つめた。
「それで、彼氏いるんですか?」
お願い!いないって言って!
お願いだから。
幸斗とは付き合ってないって言って。
私は心の中でそう祈った。
お願いだから…。
しかし、そんな願いは虚しいものだった。
高橋先生は…
「彼氏ぐらいいてもいいでしょ?」
…。
まだその彼氏が幸斗って決まったわけじゃないのに…頭が混乱して働こうとしなかった。
しかし、高橋先生や亜美にバレてはいけない。
私は冷静に何事もなかったように振る舞った。

