私が幸斗の顔を見られないでいると幸斗が口を開いた。
「体調、大丈夫ですか?」
「別に…。」
「そうですか。それなら良かったです。」
聞かないのかな…。
私があんなこと言ったのに。
それとも、言いたくないとか?
そうだよね。
本当は彼女がいたなんて…言えないよね。
「葵ちゃんの担当医、僕になりましたから。」
「岸井先生じゃないんだ。」
「すみません。」
「そろそろ仕事に戻れば?」
私がそう言うと、幸斗はすこし悲しそうな顔をした。
「では、そうしますね。」
そう言って幸斗は病室から出ていった。
…。
お腹は痛くなかったが、心が痛かった。
なんだろう。
この気持ち。
私…高橋先生にやきもち妬いてるのかな。
そんなはずないのに…。
なのに…なんでこんなに苦しいの?
人を信じるのってこんなにも難しかったっけ?
幸斗…あなたは何を考えてるの?
私をこんな気持ちにさせて…辛いよ。
辛いよ。
これって…恋なのかなぁ。
もし、そうだとしたら片想いだよね…。
片想いって…こんなに辛いんだね…。
私、片想いしたことないから分からなかった。
何で、私…幸斗なんかのことが好きなの?
他に男なんて星の数ほどいるじゃない…。
よりによってなんで幸斗なのよ…。
それに…男なんていなくたって私は生きて行けるのに…。

