私は持っていた財布を落としてしまった。
その音に気づいたのか、幸斗が私の方に振り向いた。
「葵ちゃん、カウンセリングどうだった?」
そう言った幸斗はいつものように笑顔だった。
人間ってこんなにも早く表情を切り替えられるんだと改めて思った。
「何で…。」
「えっ?」
「何でそんなに悲しそうなの?」
「もしかして葵ちゃん見てたの?」
「何で笑顔になれるの?さっきはあんなに悲しそうだった…。」
不思議だった…何で笑いたくもないのに笑ってるの?
幸斗は何を抱えてるの?
私と一緒なの…?
「葵ちゃんも、すごく悲しそうな顔してる。」
えっ?
そう言って幸斗はまたあの悲しそうな表情に戻った。

