「僕が過去を打ち明けたみたいに葵ちゃんの過去も聞きたいです。」
「無理。」
「なんで私がただの副担当医のあんたに過去を教えなくちゃいけないのよ!!」
「それに私にあんたみたいな悲しい過去はないから。」
「あ~もう眠くなっちゃった。だからあんたも仕事に戻っていいわよ。」
ちょっと…なんで何も言わないのよ。
そんな堅苦しい表情なんかして。
「なんか言いなさいよ。」
「僕にはそんな風には見えませんけどね。」
なっ…何よ?
私のことを真剣に見つめる佐武先生の瞳に目がはなせなくて。
やっぱりこいつ…怖い。
「でも…葵ちゃんが言いたくないならいいです。」
「では仕事に戻りますね。朝になったらまた来ます。」
そう言って佐武先生はでていってしまった。

