赤い頬。
少しだけ潤んだ瞳。

太陽の光に反射して、その瞳は更に魅力を増している。


気になって仕方がない。
そして、その目を逸らしたくない。


沙紀と向き合っていた甲斐は欲望に駆られ唇を重ねる。




「甲斐、私、甲斐が好き」




震える指先に力を入れ、必死に甲斐の腕を掴む沙紀の表情は、言いようがないほど赤く染まっていた。

けれど、その顔を隠すことなく真っ直ぐに甲斐を見ている。


甲斐は再び沙紀とキスを交わす。


それはとても甘く深いものだった。




「甲斐、なんか…恥ずかしい…」

「え…いや…それは俺も同じことで…」

「ふふふ…そっか…」

「な、何だよ」

「ううん…甲斐、私、本当に好きだよ」

「なんか恥ずかしいな…」

「甲斐は?」

「え?」

「私のこと嫌い?」

「………」

「え…黙らないで…よ…」

「違う、その…可愛いなと思ったから…」

「か、かわ…えぇっ!?」

「その、ドキドキするんだ。沙紀を見てると…触れたくなる…」

「え…」

「これが好きってことなのかな」




目の前にいる大切な存在となった沙紀は、目を赤くさせ、溢れ出る涙を流した。

真っ直ぐに向けられた瞳が甲斐を捉える。


沙紀の涙に、甲斐は驚いていた。




「甲斐のバカ…」

「え、え?なに?俺、なんかマズイこと言った?」

「違う!…その…嬉しいの」




少々戸惑いがあるのか、様子を伺うように沙紀は甲斐の胸へ顔をうずめた。
甲斐はそっと沙紀の頭をなでる。




「付き合おうか」




甲斐の言葉に沙紀は小さく笑う。




「当然」




沙紀の返事に甲斐もまた小さく笑った。


そして、甲斐と沙紀の付き合いが始まった。