「え…」

「楽しいからだよ。甲斐と一緒にいて、そしてこうやって同じ時を過ごしている。小さな出来事で笑って…そして…ドキドキして…」

「………」




言葉を重ねていく度に顔を赤らめていく目の前の女の子。
甲斐は沙紀から視線を逸らせずにいた。




「甲斐といると本当に楽しい」




赤くなった顔を隠すことなく、満面の笑みを向けた沙紀に、甲斐は近づき、頬に手を当てた。




「熱いな…」

「っ!!……やめて…言わない…でっ…っ」




可愛い、そして、沙紀の表情、言葉に甲斐の心が和んでいく。先ほどまでイラついていた心はいつの間にか、安らいでいる。

甲斐は沙紀と唇を重ねた。




「ちょ…っと…」



突然の出来事に、沙紀は戸惑う。




「……どうしてかな…すごく沙紀とキスしたかった」

「………え…」

「もう一度しない?」

「……したい…けど、待って」

「??」




沙紀は甲斐の腕をつかみ、まだ熱を保ったままの顔をまっすぐに甲斐に向けた。




「甲斐、私、甲斐が好き」




そして、甲斐と沙紀は目を閉じ、キスを交わした。