「もしもーし」

「あ、病院行ってきた
ヘルペスだってさ。」

「ヘルペスかぁ…
1ヶ月休みだからゆっくり治せ。仕事やめたかったら来週までに言って」


普通の女の子ならきっと、仕事をやめているんだろう。
それでもあたしは、やめたいと思わなかった。

仕事をやっているから
ほのかという人間がいる。
そう、実感できたから。

援交している時が一番、自分らしくいられる時。


「雄平くん…ほのか仕事やめるつもりないから、大丈夫」

「強いのな」

「うん、したらまた連絡する」

「はいよ」


この時、仕事をやめていたら、あたしは、悲しまずにすんだだろうか。

あたしは、涙を流すことはなかっただろうか。

あたしは、壊れることなかっただろうか…。


その答えは、今も見つからないままだ。