「不機嫌」

あたしはたった一人、彼だけを指差して言った。


「雄平くん不機嫌」

「あーいいのいいの!
こいつはほっとけよ。
てか、お前寝るんじゃなかったのか?」

「いろいろあって」


ジーッとあたしを見ながら雄平くんは眉を寄せていた。


「ほのか帰る。じゃぁね」

「は?おい!」

れまの眠さに限界がきたのを気付いたあたしは、足を早めて駅へと向かった。


「ほのか、じゃぁな〜!!!!!!」


背から聞こえる声に耳を傾けながら、あたしは足を進めた。


後から聞いた話、彼が不機嫌だった理由は、れまを男との子供だと思い込んでいたかららしい。


それはそれで嬉しかった。
少しでもあたしを気にしてくれてるということだから。