この日、あたしは産まれて初めて仕事というものをした。

初めての客は、優しくてお兄さんみたいな人だった。
援交って聞くと、おじさんとヤるという印象しかないが、実際ヤってみるとそうでもない。

20代だっていた。
むしろおじさんと同じくらい、20代や30代の人も多かった。


「初仕事どうだった?」

「疲れた…けど楽しい」

「お前、今日いくら稼いだと思う?」


最初の人は確か…いちさんだった気がする。

いちさんとは一万三千円のこと。

二人目は、一万だったかな…。
三人目は…もう覚えてない。

今日、ヤった人数は5人。


「約七万だな」

「……七万」

「初めてでこんな稼いだやつお前が初めてだ」

「そ、なんだ」

この時ばかりは思った。
自分はこういう仕事が向いているんじゃないのか…と。


「お前、門限とかあんのか?」

「なに…門限って」

「ないんだな」


門限なんて聞いたことなかった。