槇さんの代わりでもいいって自分で言ったくせに。 槇さんがいたらこうなるって頭ではわかってたくせに。 どうしてこんなに、心が痛いんだろう。 どうしてこんなに、泣きたくなるんだろう。 「……くっそ……」 自分がどこまで走ったのかもわからない。 ただ悔しいのか悲しいのかよくわからない涙を流しながら走った。 涙を袖で強引に拭って前を見ると曲がり角。 ゆっくりスピードを落として早歩きになりながら角を曲がろうとすると…… 『――ねぇ。』 突然目の前に人影ができた。