『……綾。いきなりいなくなって、悪ぃ』 槇さんが消え入りそうな小さな声で呟くと綾はゆっくり顔をあげた。 その顔は今にも泣きそうで。 少し気を緩めたら目に溜まっている涙が溢れそうだ。 『っ……槇ぃ……』 苦しそうな声で槇さんの名前を呼ぶ綾。 壊れ物を扱うように優しく綾を抱き締める槇さん。 縋るような目で槇さんを見つめる綾。 愛おしそうな目で綾を見つめる槇さん。 その光景をただ、ただ、見ているだけの俺。 これが、俺と槇さんの違い。 近すぎる槇さんと 遠すぎる俺。 無性に泣きたくなった。