『……ん』
先輩は嬉しそうに、だけどどこか切なそうに頷いた。
その表情をみた瞬間。
胸がキュウッとなった。
その理由はまだわからないけど、わかりたくもなかった。
『柚、家では綾って呼んで?』
「わかった」
『今まで傍に置いてたのはいるけど……過去話したのは柚だけだよ』
「そーなんだ」
綾の言葉に、思わず頬が緩みそうになる。
それをぐっと抑え「もう寝よう」と眠そうにしている綾を促す。
『……寝る……ま……柚も一緒……』
槇と言いかけて柚と言い直す綾を見て、
あぁ、遠いな。
と思う。
部屋に入って綾をベッドに寝かす。
俺もシャワー浴びてから寝よう……と思っていると、綾は
『抱き枕』
と呟いて俺をベッドに引きずり込んだ。

