「――綾ちゃん。槇はきっと戻ってくる。その時を信じ」 ブツッ これ以上何も聞きたくなくて電話を切った。 戻ってくる? 当たり前だ。 槇はあたしを一人にしないと言ったんだから。 これは悪い夢? そうだよ。槇は嘘なんかつかない。 夢なんだから、早く覚めて。 普段は心配事があっても爆睡するあたしが、この日はなかなか寝付けなかった。 次の日になっても、槇は帰ってこなかった。