苛立ちを隠せないのか、ずっと馨の眉間に皺が寄っていた。
電話を終えてから3分ほど経っただろうか…
俺たちの近くに黒いワゴン車が止まった。
そちらへ視線をやると、車のドアが開きーーー
ボロボロになった雪と4人の男が車から降りてきた。
「『雪っ?!?!』」
俺たちは雪のところへ駆け寄った。
雪はフラフラと覚束ない足取りで此方へ歩いてくる。
倒れこみそうになった雪をギリギリの所で抱き込んだ。
あっぶな……っ
「雪、雪っ」
『ゆきっ、あた、あたしのせいでっ……』
『ゆー…ちゃん、かおる……』
雪の顔には殴られた痕があり、目は虚ろで、視点が定まっていない。
よっぽど怖くて叫んでいたんだろう。声が掠れていた。

