コンビニへ向かっている中、馨は震えた声でぽつ、ぽつ、と言葉を紡いでいく。
『ついこないだ、雪と2人でコンビニ行ったんだ。そこでたまたま、』
一つ息を吐く。
『ーーー万引きしてる奴ら見つけて』
「…うん」
『雪と話し合って、あたしが店員に伝えたんだ。“そこの奴らが万引きしてるかもしれない”って』
つまり、さっき男が言っていた『君がチクらなきゃ〜』ってやつは……
その時の、こと?
『警察が連れて行ったからその後は知らないんだけど…。多分、そいつが電話の相手、かも』
「それってただの逆恨みじゃっ…」
『でも!あたしが無駄に正義感振り回さなければ、雪はっ…!』
吐き捨てるように叫び、繋いだ手に力が込められる。
それから何となく気まずくて、コンビニに着くまでお互い無言だった。

