昇降口で靴を履き替えていると、履き替え終えた綾が俺に近づいてきた。 何か言いたげな顔で俺を見つめている。 ……きっと、さっきのことについてだろう。 『柚、さっきの雪って…』 「うん」 『病院であたしが会った人……?』 「…そうだよ」 俺がそうだと答えると、綾は眉間に皺をグッと寄せた。 『ねぇ、雪って何なの?柚はあたしより雪って人がいいの?』 「…?」 『柚、雪って人の話聞いてた時ずっと悲しそうだった。何で?』 悲しそう、か……