『えっと、お二人とも知らないですか?』
綾に話しかけられて戸惑いながらも話してくれるこの人は、見覚えがある。
隣の女子は俯いてるけど……あれ、この子って。
『今全部の教室内の黒板に、二人が手を繋いでる写真が貼ってあるみたいですよ』
「……はい?」
『えっ、あや達の写真が、全クラスにあるのぉ?』
『はい、俺達は友達から黒板の写メ送られてきて知ったんですけど』
さすがの綾も少し動揺しているようだった。
全部の教室内の黒板に、俺達が手を繋いでいる、写真が、貼ってある、?
「ちょっ、え、…それ本当?」
『本当だよ、観月クン』
ずっと俯いて黙っていた隣の女子が、顔を上げて言葉を放つ。
……あぁ、やっぱりそうだ。
「…馨」
『あれ、まだ馨って呼んでくれんだ。久しぶりだね、柚』
そう言って笑う馨は昔よりも少し大人びていた。

