「柚?どうしーーー」
最後まで声が出なかった。
だって、だって、
「っ、柚っ⁈」
『綾?どうした……っ⁈』
目の前で柚が胸を掴んで苦しそうにして倒れていたからーーー
やだ、やだ、やだ、
思い出したくないーーー
でも、でも、でも、
「柚⁈返事して!槇っ、救急車!」
『お、おうっ』
必死に柚、柚、と声をかけ続ける。
あんな思い2度としたくないっ!!
あたしが、あたしがしっかりしなきゃ。
確かにあたしにとって槇は無くてはならない存在だけどっ。
“今のあたし”には柚が必要。
柚にはあたしが必要でしょう?

