『綾』 槇のあたしを呼ぶ声は変わらず優しくて、胸にじんわりと染みて安心する。 柚の登場で落ち着いたあたしはやっと槇を真っ直ぐみることができた。 最後に見た時よりずいぶん伸びた背。 最後に聞いた時より少し低めの声。 幼さのあった顔は、もう1人の男の人のようにキリッとしている。 会ってないとこんなに変わるもんなのかな…… それよりも落ち着いた今、聞きたいことを色々聞かなくちゃ。 「……何で、戻ってきたの?」