「……なんだこれ」 戻った病室で見た光景に思わず声が零れた。 『ぁ…柚……遅かったねえ…』 「遅かったね、じゃないでしょ!何してんの!」 なるべく大声にならないように怒鳴り、慌てて綾に駆け寄った。 何でかって言うと 「それ!!」 綾がフルーツナイフを持って、ベッドやカーテンを引き裂いていたから。 フルーツナイフを綾の手からひったくった。 ひったくったのはいいが、その後の綾の手の行き場に思わず目をみはった。 「ちょ…何してっ……」 綾は何を血迷ったか、俺の首に手をかけた。