綾…は確かヒールじゃないはず。 誰……? 普段なら知らない人だっているから気にしないはずなのに、 何故かこの時ヒール音が誰からなのかが気になってしょうがなかった。 考えている間にも俺は一段一段階段を上っていて、ヒール音も階段に一歩一歩近づいている。 階段に来るという確証はないのに、そう確信してしまっていた。 あと3段…というところで階段の出入り口から人影が見えた。 スピードを緩め、一段一段ゆっくり上る。 人影は一歩前に出て下る階段、 つまり俺のほうに身体を向けた。