ー笹木くんは何者なんだ。
何年生なのか。何組なのか。
とても不思議だった。
本当に不思議で仕方なかった。ー
この鼓動はなんだろうか。
もしかして…
いや、でも、違うだろう。
そうやって、自分に言い聞かせてた。
ーしかし、笹木くんのことはその後も知ることはなかった。
教えてもらえることも何も。
放送室の前で笹木くんと出会った日。
その日から、笹木くんのことを考えるたびに胸が苦しくなる。
放送室にくる度に思い出す。
笹木くんのウィンクと重なり合うじりじりと照りつける太陽。
もう一度笹木くんに会いたい。
会って気持ちを伝えたい。
そんな想いが次第に大きくなった。
共に、不安と期待も大きくなった。