あの日のことを忘れることはない。絶対に。

じりじりと太陽に照らされ、陽が当たる校庭。
私がいる場所からは良く見える。
そこでは扇風機が強で
頑張って回っているのが伺える。

私は今年の春、中学に入って
放送委員を任された。
そしてこんな暑い日に放送室に居たのだ。
放送室は外よりも暑いというのは
校内では有名な話だ。

ーキーンコーンカーンコーン
ぼーっとしていると
昼休み終了のチャイムが鳴る。
一瞬戸惑ったが、
私は落ち着いてマイクに向かって
口を開いた。
「ただいま12時25分になりました。教室外にいる生徒のみなさんは教室に戻りましょう。」

校庭には日陰はなく、
空は青く、
白い雲はひとつもない。

そんな校庭を見下ろしながら、
窓の鍵を閉めた。

…私はドアの鍵を閉め、1人で
教室に戻ろうとした。
「おーいっ!放送委員さーんっ」
背後から大人びた低い声がした。
『…っっ。』
驚いて、
声にならない声を出した。
「ちょーっとお願いがあるんだけど」
後ろを振り向くと背の高い男性がこちらに歩いてきた、、
『なっ、なんですか…』
今私は声は震えているし
涙が出ているかもしれない。
「ふふっ。ちょっとね★」
男性はそういい、ウインクをして私の手を取った。