*お向かい彼氏*







でも、ひかるは俺を通り過ぎ、八田の前に立った。





「…お久しぶりです、八田さん。」




「ひ、ひかるちゃん…」






八田は目の前の光景信じられないように何度も瞬きをする。




「なんで…ここに…」




「今年の春、こっちに戻ってきたんですよ。戻ってきたっていっても居たのは神奈川ですけど。」



「そんな近く…」




神奈川?



神奈川って…そんな、普通に電車でいけるような…





そんなとこに…?





「光輝も、久しぶり。」




「え、あ…」





突然話しかけられて焦る。



ひかるの表情は寂しそうな笑み。





なんて返したらいいのかわかんねぇ…。






「ごめんね、急にいなくなって。」





「ひかるちゃん、そのことなんだけど…」






「2人が幸せそうで良かった。」







は?





2人…?






俺と八田?




あ…マズイ。



勘違いされて当たり前だ。





今俺らは仕事帰りで、しかも2人きりだったんだから。







「ひかる、これは…!」





「元気そうで安心したよ。じゃああたし帰る。」





背を向けるひかる。




一緒にいたやつらに声をかけ、オトコの手を取った。






「……。」






八田が俺の様子を伺うように光輝?と呟く。





…ひかるには、もう彼氏がいる。






笑顔で、隣にいるやつが…







もう俺はひかるの過去なんだってことを突きつけられた気がした。







悪いのは俺。




でも…!