昔のことには触れずに
ただ、近況を話し続ける。
「お前には佐倉が必要だと思ったから。」
祐希に何故連絡したか問い詰めるとこの回答。
ちょっとキュンときてしまった。
「えっ⁉美空もK大なのー⁉」
知らなかったの意外だと言いたげに巧は頷く。
「佐倉から聞いてねーの?」
「…祐希からは、そーゆうこと一切聞かないことにしてるから。」
変んねーな…
そういって笑ったとき、店員さんが 座敷、二名様です! と威勢の良い声を張り上げる。
「変わらないって失礼!大人の女になったとか思わないの⁉」
バシバシ肩を叩いていると、巧の視線が一カ所で固まった。
ん?なに?
巧が見ている方に目を向けようとするとガシッと肩を掴まれ阻まれた。
「痛いな、どうしたのよ」
「ひかる、落ち着いて聞け。」
隣の席に背を向けるようにしているあたしを真剣な目で見る巧。
「選べ。今から俺と抜けるか、過去と向き合うか。」
は…?
なに、言ってんの…?
「意味わかんないよ。」
「いいから選べよ。」
「…過去に向き合えるなら向き合いたい。前に進みたい…」
そう告げた瞬間、さっきとは反対に隣の席に身体を向けられた。
………え。

